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研修生の皆さまへ

お客さまコード"JS23B(75~77)"
「職場活性化研修」

 補助教材

人間は重要且つ危険な経営資源

< 講師実体験より >


手前味噌で恐縮です。講師は、採用教育業務を含め、現役の企業人事担当者であった頃、「人を見る目がある」と評価されていました。それでも次のような経験があるのです。際立った特徴のあるケースのみ、極力本人が特定されないような表現で紹介差し上げます。これ以外にも程度の差こそあれ、さまざまな人に関する痛い思い出があります。人はとても重要、しかし同時にとても危険な経営資源なのです。どんなに担保を踏んだとしても、使ってみないと分からないし、使っていてもわからないものです。いつどこで、どういう風に変わってしまうかわかならいのですから。

事例1)色白で痩身、性格は大人しく、文句を言わずによく働く中途採用のホテルマン。色白痩身が度を超すレベルだったので、同僚らが冗談交じりで"シャブ"ちゃんと呼んでいた。もちろん今日日、そうしたニックネームはアウト。しかし時代は遡ること40年前。時効。

・・・さて、採用して半年ほど経ったある日のこと。彼は蒸発した。履歴書にあった住所(アパート)はもぬけの殻。暫くして、職場に彼からの封書が届いた。曰く「誰にもバレずにここまでこれた。なんでわかった。許さない」と。あな恐ろしや。手紙は警察に届けた。そして職場メンバー全員、夜道の一人歩きを異様に警戒するようになった。ホテルの所在地は池袋の超繁華街。いつ人ごみの中から凶器を手にした彼が現れるかわからんと、戦々恐々。

事例2)長身且つ痩身、お洒落で気が利く、いわゆるシュッとした不動産営業マン。コンスタントに好成績を維持していた。

・・・顧客の奥さまと不適切な関係に。しかも何人もの奥さまと。ご主人らが入れ替わり怒鳴り込んできた。「お前の会社では従業員に枕営業を仕込んでいるのか!」

事例3)一部上場の最大手住宅ディベロッパーから引き抜いた、部長登用を前提とした課長採用の有能なセールスマネジャー。幹部採用につき、調査機関を利用したが、金銭面、家族関係、学生時代の動向、前職の仕事ぶりや人間関係など、一切問題がなかった。むしろ評判は上々。

・・・ところが、初めての単身赴任で、なにがあったのか営業業務で移動中に下着泥棒。ベランダに侵入したところで、室内の家人に見咎められて素直に投降。家人の通報で、警察官が現着して現行犯逮捕。恐らく本人は初犯。なぜなら家人に見咎められても逃げずに、固まってしまっていたから。

事例4)父君は業界で、ある程度名前の通った専門家。その関係で子息は、大学院卒業時に、業界最高水準の国家資格を取得していた。彼は一人息子であったものの、しかし甘やかされずに育った。アルバイト経験ではバイトリーダー。大学時代の活動費は全て自らのアルバイトで賄っていた。海外留学経験はホームステイで半年間。大学時代のサークル活動では部長。皆から慕われ、人望もあった。人柄も明るく、素直。そのうえリーダーとしての資質も充分。自立心も強く、いざとなれば人前に立って力強く仲間を鼓舞することもできた。当時の講師が務める会社では、史上最年少での役員昇格が期待された。将来を嘱望された青年は、当然、大手一流企業から矢継ぎ早に内定が出ていたが、当時の講師が苦心惨憺して、各社からの囲い込み合戦に勝利、彼の新卒採用に漕ぎつけた。

・・・優秀過ぎたため、やっかみ半分に「今のうちにマウントをとっておこう」とする先輩や上司らから、ジョブローテーションの先々でシビアな洗礼を受け続けた。やがて心神耗弱状態に。安パトで巡回中、当時の講師は、様子がおかしくなりかけていた彼に度々声をかけていたが、責任感が強く自立した人間であったが故に、彼はいつも「大丈夫です。誰もが通る道ですから」と。当時の建築現場は完全なブラック。漆黒のブラック。当時の講師の観察可能範囲外で、彼はどんどんと壊れていった。そして入社1年を待たず、男女共学の公立高校の正門近くで下半身を露出。高校教諭によって民間人逮捕。駆けつけた警察官によって身柄を拘束。警察署へ。

事例5)父君は某商社の準幹部。彼女は一人娘。大切に育てられた。富裕層の箱入り娘たちが幅を利かせていたお嬢様学校を並以上の成績で卒業。在学中に日商簿記2級の資格も取得。父君の取引先であった、当時講師が在籍していた企業に半ば縁故入社した。そうした背景から信用があったため、本人の希望通り財務業務に従事させていた。本来、金周りの仕事に就かせる場合、リスク管理として3~4年でジョブローテーションをかけるものだが、父君の信用があったことや、ジョブローテーション先が地方事業所しかなかったために愛娘を手元に置いておきたい父君の反対もあり、凡そ10年間に亘って同一部署で同一業務に従事させていた。

・・・そんなある日のこと。彼女は突然出社しなくなった。両親とも連絡が取れなくなった。彼女は国税庁の監査を前に逃亡した。そして1億円近い横領が発覚した。ホストにハマっていた模様。両親が横領金額相当を弁済し、示談案件となったが、その後しばらく彼女の行方は知れなかった。

事例6)スポーツクラブ インストラクターとして充分な経験を持ち、またマネジメント経験のある男女。2人は夫婦。新規開業ホテルのスポーツクラブ施設のマネジャーとそのアシスタントとして採用。ところが配下のメンバーからパワハラの訴えが相次いだ。そこで当時、当該社の人事担当であった講師は、訴えられた本人らと面談を重ねながら調査を進めた。しかしそのような訴えがあてはまる気配は微塵もなかった。彼ら夫婦は従順、素直、愛想がよく善良そう。

・・・ところが配下メンバーからの訴えが止まず、なにかあると睨んで一計を案じ、飲みに連れ出して胸襟を開かせた。すると何気ない会話の途中で、突然、悪鬼の如く豹変。「俺は、何不自由なくのほほんと暮らしてきた奴らが許せない。そういう奴らに復讐をするために、人のうえに立つ仕事をしようと決意したんだ。人のうえに立って、部下になった、のほほんと暮らしてきた奴らに渇を入れる。俺たちが味わってきた屈辱を思い知らせてやる。復習をする。そのためだけに今まで頑張ってきたんだ。そして今、やっとそれが適って嬉しくてしょうがない。嬉しすぎる。だから加減が利かなくてドジを踏んだ。バレたということだ。あんたら(人事担当であった当時の講師)一般人には俺たちの気持なんかわかりっこない」と。ほどなくして彼らは夫婦そろって依願退職。彼らは同和問題の渦中に生まれ育ったとのこと。もちろん採用時にはそのようなことはおくびにも出さなかった。

事例7)某国立大学卒の理系女子。自立心が強く、それでいて愛嬌がある。対人関係構築能力もずば抜けていた。学生時代は販売系のアルバイトをしていたとのこと。そして親には一切負担をかけず、生活費は自分で稼ぎ、また学費は奨学金で賄ったそうだ。理系ながらも総務・人事を希望。そして新卒採用。

・・・実は販売系のアルバイトとはシステム販売(ねずみ講)のことだった。入社後、持ち前の愛嬌、人間関係構築能力で、社内の新卒同期ばかりか、他部署の先輩や上司までもをシステム販売の子会員化。更に子会員となった社員たちが、社内で孫会員を勧誘し、更にはお客様まで巻き込んで一大システム販売網を構築。巧妙な手口で、自分たちのサイドビジネスのために、本来業務とは全く関係のない客を会社の応接に呼び込んでは、入れ替わり立ち代わり商談。図に乗り過ぎて入社2年を待たずして発覚。会社組織が、異なるビジネスの営業組織に塗り替わりつつあった危機に、会社の幹部一同騒然。そして青ざめた。全社員の3割近くが彼女のサイドビジネスに関わっていた。張本人たる彼女は解雇扱いだが依願退職処理。関わった一般社員は減給。役職者は一部降格。全員に再発なきよう誓約書を提出させた。

以上

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